【海外就職】日本企業の凋落と海外就職

ホタイブログ

三菱電機で不正が発覚し、また日本企業の凋落が印象付けられました。
また、先日ベトナムの有名ニュースサイトでは、「東芝ーミスマネジメントによる記念碑の崩壊」というトピックで、特集記事が組まれていました。
コーポレートガバナンスを語る上で、東芝が格好の例として挙げられています。
日本企業の凋落は、海外でも大きく報じられ、「日本」ブランドの毀損に拍車をかけています。これらの不祥事や問題が、「日本企業神話」の信じられていた時代から続いていたことに、日本人としても驚きを隠せません。

いや、もう問題が多く起きすぎていて、驚かない人もいるかも知れません。
大局的に、日本経済の弱体化もすでに既定路線です。現況では人口減少とそれに伴う社会保障コストの増加に解決策がないことはあきらかです。
そんな状況の中で、海外就職を考えている人も多いでしょう。では、この状況で海外就職はどのように考えたら良いのでしょうか。結論は、早ければ早いほど良いです。

目次

日本企業の弱体化と競争力低下がもたらす影響

日本企業が弱体化すると、まずシンプルに日本企業のマーケットシェアが減ります。
マーケットシェアが減ると、生産・販売が減少します。そしてそれに伴う人員も減少していきます。
最終製品のシェアが減れば、それにそもなう裾野の下位メーカーのシェアも減るということになります。
いや、まだこの産業は強い、という意見もあるでしょう。その通りです。日本企業は弱体化しつつありますが、まだ根強い強さを持っています。
そして、強さを保ち続ける分野もあるでしょうが、弱くなった分野では確実にシェアが減り、雇用が減ります。分野によっては、その市場自体がなくなったり縮小することもあります。
また、日本は人口規模と経済規模がある程度あるため、日本企業は日本市場である程度の利益を確保できていたのですが、将来の数十年をみれば市場自体が小さくなり、国内での販売はジリ貧になるのは確実な状況です。
だからこそ、多くの企業が海外に進出しています。以前はあまりなかった小売業やサービス業もどんどん海外に進出しているのはそういった理由があるからです。

まだ海外への投資余力のある企業ですが、国内市場が縮小していくと、海外進出する体力のない企業も出てくるでしょう。
しかし、海外への進出にはリスクがあり、不祥事が報道されれば、現地での有能な人材の確保にも影響が出てきます。
日本企業が弱体化すると、世界での日本企業の存在感が薄れてくることでしょう。
日本企業のマーケットシェアは減り、企業の数も規模も小さくなり、雇用の数も減っていきます。日本企業を取引先とする企業も減り、「日本企業」「日本人」への特別対応や特別な信頼感といったものも減っていくことでしょう。

海外での日本人人材市場 拡大・縮小要因

海外の日本人人材マーケットはどうなるでしょうか。
海外の日系企業が、なぜ海外で日本人を雇うのかを考えてみましょう。
実は、最終的には海外日系企業で「現地採用」と言われる日本人は必要無いのです。
現地社員に権限移譲が適切に行われ、マネジメント層のふさわしい現地社員が育っていれば、そこに日本人社員の入る余地はありません。これが現地化です。
ただ、最終段階でそうなるとしても、現地社員が育つまでは駐在員がマネジメント職を担い、現地社員が育つに従い、駐在員を減らしていく方法が通常です。そしてこの過程で、駐在員では人手が足りなかったり、コストダウンのために駐在員の代わりに現地採用を雇うという形になります。
しかし、これも過程ですから、最終的に現地社員が全てのマネジメント層を占めるようになったら、日本人の必要はなくなります。特殊技能者として、日本顧客対応の専門メンバーは残るかもしれません。

こう考えると、日系企業で求められる存在理由がはっきりしてきます。

  1. 現地化の過程において、駐在員、もしくは本社と現地社員との間を取り持つ
  2. 現地化の過程において、駐在員の代わりの職務を低コストで行う
  3. 現地社員以上のマネジメントを行う

3マネジメントを行うについて補足すると、現地社員に権限移譲が進んでいき、現地社員がマネジメント層に昇進していくのは、自然な流れです。ただ、これは現地社員だから、というわけではなく、社内でマネジメントの能力が認められた結果になります。会社としては、能力のある人材をマネジメント職に登用するわけですから、日本人であっても能力があれば、マネジメント職に登用されることになります。

人材市場の拡大要因

現在日本の状況は、どの業種でも海外に進出しないと長期的な発展は望めません。国内市場が縮小しているからです。
海外の進出する企業が増えるほど、海外における日本人の人材マーケットは大きくなります。
また、氷河期時代の人材抑制のため、どの企業も50代以下の人材が不足しているため、今海外駐在をしている50代以降に引き継げる人材がいないという問題も抱えています。このため、現地で日本人を募集する動きは続くと見られます。
現地化により、現地社員幹部の登用の動きもありますが、時間がかかりますし、有望と見られていた能力のある現地社員が途中で転職してしまうケースも多々あります。この場合、日本からの人材供給もできず、現地社員も登用できないために、日本人の中途採用を受け入れざるを得なくなります。
国籍は問わず、安定して長く勤める人というのが求められるのです。
求職側の状況も、コロナ禍による就職難により、海外に活路を見出そうとする人は一定数現れますので、人材供給の面でも、国外への移動ができるようになった時点で増えていくと見られます。

人材市場の縮小要因

海外の日系企業では、現地化を図り、コスト削減のために、駐在員を減らす方向で動きますが、その方法は2つあり、一つは日本人を採用する方法であり、二つ目は現地社員を採用するという方法です。

日本人を採用するよりも、現地で幹部社員を育成・登用する方が安くなるため、企業としては現地社員の採用を優先するため、この動きが進めば、日本人を採用する余地はなくなります。特に、マネジメントや業務経験の少ない若手を雇う理由がなくなりますから、市場は小さくなります。
求職側の状況としては、海外で働く場合給与などの待遇は、日本採用より確実に落ちるため、現地との物価差を狙ってきます。しかし、経済の発展しつつある国々では、物価も上がってきているため、この物価差も縮みつつあります。現地に来てみたけれど、思ったより生活が厳しいという状況です。
こうなると、需要・供給双方が少なくなり、人材マーケットも小さくなります。

こうしてみると、最終的に求められる人材は、現地社員より優れたマネジメント力や、特別なスキルを持つこと。また、すぐに転職するとみられないような、安定した勤務歴が必要となります。

海外就職の仕方

海外での就職を考えた場合、いろいろなゴールがあります。
現地企業への就職、日系以外への外資企業への就職、または現地での起業などです。海外での経験を積んでから、日本へ帰国を考えている人もいるでしょう。
いずれのゴールに対しても、すぐに実現できれば理想的ですが、実際には、まずその国で日系企業に就職するというのが、無難なステップです。
理由としては、語学のスキルアップ・現地事情の把握が挙げられます。

日本にいても、英語や現地の言葉の言葉を学習することはできますが、やはり実践を通しての習得には遠く及びません。また、語学の学習は時間がかかるので、習得まで待っていては遅くなってしまうのです。
ゴールは人によってさまざまですが、現地の事情を知らなければ乗り越えるべき課題も分かりません。
まず現地に行って、状況を知らなければゴールを達成することは出来ません。課題を知るには、早めに現地に行き、現実を知らなければならないのです。

この点から、日系企業では日本語や、日本人であることが一つの武器になりますので、第一歩として就職するには最適なのです。現地採用については、是非が論じられていますが、ゴール達成へのファーストステップの選択肢から外してしまうのはあまりにも勿体ないことです。

海外就職のタイミングと獲得スキル

現地化の進む中で、海外の日本人が求められることは、現地社員に負けない業務能力と長く勤められる安定性です。
ここから結論付けられることは、海外での就職は、早ければ早いほどよいということです。

もともと日本人ですから、日本語はでき、給与も現地社員より高いところから開始するため、管理職に近いところからのスタートとなります。後は、現地の言葉を学びつつ職務経験を積んでいけば、その会社や業界に対する知識も深まり、マネジメント力をつけていくことが出来ます。
安定性については、更にシンプルで、同じ会社に長く勤務するだけでアピールが出来ます。
初めの会社にしがみつくことはありませんが、転職しても2社、3社目で自分に合った会社で数年働き続ければ自然と安定性ありと評価されるようになります。

海外就職のタイミング

日本企業・日本の経済力は長期的に弱体化することは間違いありません。
なるべく弱体化が進む前に海外で就職するほうが、選択肢が多くなります。

また、個人の価値を高めるためにも、早めのスタートをきったほうが得策です。
40代で海外就職し、1年で転職となると次はきつくなりますが、20代で海外就職し、1社目を1年で転職、2社目に5年勤務であれば、まだまだ転職しやすい状況です。
仮に海外をあきらめ、日本へ帰国した場合でも、早い方が日本での就職も容易です。また、その後で再び海外挑戦する時にも、自分自身の心のハードルはかなり低くなります。いつでもまた海外へ挑戦できるという余裕があれば、日本での仕事をするにあったても大きな違いになります。

日本人として、日本の弱体化は悲しい事実ではありますが、個人で対応できる手段は限られています。長期的な日本経済と日本企業の弱体化に備え、海外への挑戦は早めにすることをおすすめします。

——ホタイブログ—–

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