【海外就職】職場での立ち位置。存在感・影響力の確立 Informal Authority

ホタイブログ

会社で地位は高くはないものの、この人に話を通しておこうという存在感のある人がいます。これはどういうことなのでしょうか。どうやってこの影響力を持ったのでしょうか。
これは、会社の地位に由来する公的権威(Formal authority)とは異なる非公的権威(Informal authority)を持っているためです。この非公的権威はどのようなものか、そしてどうしたら得られるのかを解説していきます。

また、取引先の担当者が、非公的権威を持っていれば商談は進めやすくなります。相手がどのような立場にあるかを知るためにも、非公的権威がどのようなものかを知っておくと有利になります。

目次

職場で、地位に関係なく影響力を持つ、非公的権威(Informal aothority)

会社には、地位とは別に特別な存在感を放ち、影響力を持つ人がいます。その道数十年の頑固一徹な職人で、製造についてはこの人に話を通しておかないと仕事が上手くいかない、ですとか、事務所のぬしのようなお局様のようなものです。彼らはどうして地位に見合わない影響力を持っているのでしょうか。
影響力に大小に関わらず、こういった人について、誰しも思い当たるところがあるのではないでしょう。これは日本だけにある現象ではありません。
そもそも私がFormal authority、Informal authorityという言葉を知ったのは、アメリカです。日本語にまだ決まった訳がないようなので、私ホタイが公的権威、非公的権威と訳しています。アメリカでの例では、創業時の先代社長時代から働いている事務の女性が例に挙がっていました。

ここで、非公的権威を持ちやすい立場を考えてみました。

  • 秘書:秘書の取次がないと、社長など上位職とコミュニケーションが取れない。また、秘書の評価が上位職に直接影響する。
  • 通訳:通訳がいないと、コミュニケーションが取れない。通訳に嫌われると、ネガティブに通訳される恐れがある。
  • 古株社員:過去の事例をしっており、社内に思いもよらなかったような人脈を持つ。創業時からいたり、先代社長とも仕事をしている。
  • 固有技術者:ある業務は、この人がいないと上手くいかない。資格・特殊設備等。
  • 花形社員:業務成績が突出している。上司・他部署もこの人の言うことには耳を傾ける。
  • たぬき親父・お局様:同期入社などで、上位職のメンバーに人脈をもち、根回しや人の操縦に長けている。また、業務にも精通している。
  • 威圧者:とにかく大きい声で威圧し、意見を押し通す。他の人は、面倒なので話を受け入れてしまう。上位職が言いたいことを大声で言ったりするため、上位職の汚れ仕事を行っている面があり、上位職から重宝・擁護される。

上記の内容を整理すると下記の特徴があることが分かります。

  1. 人脈や業務により、上位職と直接話し非公式に情報を伝達を伝達する機会がある。
  2. ある分野での業績がある。
  3. 創業時より勤めている、苦難の時を過ごしている等の会社の歴史を担ったと見られている。
  4. 上位職のやらない”汚れ役”を担う。

また、文化的にも非公的権威を持ちやすい性質があります。良し悪しは別として、下記の内容が見られます。

  • 年長者:若者より、年上のほうが敬意を払われやすい
  • 勤務歴:勤務歴の長い方が、短い方より敬意を払われやすい。先輩・後輩の関係
  • 性別:女より男のほうが敬意を払われやすい。(是非は別としてこのような現実がある。)
  • 学歴:学歴が高い方が敬意を払われやすい。しかし実績を上げられないとメッキが剥がれてしまう。
  • 前職:前職で、大手や有名企業だと敬意を払われやすい。これも実績を上げられないとメッキが剥がれてしまう。
  • 外国人:作業者レベルを除き、外国人が入社した場合は、それなりの能力があると見られる。また

ここで注意すべきは、その国の文化や社風によって非公的権威を得られやすい特性が変わるということです。儒教文化圈では、年齢や性別によ序列が比較的顕著ですし、新興のIT企業などでは逆に年長者は「古い」知識の保持者としてあまり尊重されないかもしれません。「威圧者」は重宝される会社もあれば、パワハラとして排斥される会社もあるでしょう。

その国や会社の文化を見極めることが重要です。

実際の影響力は、上記の要因に加え、公的権威である職位や、個人の性格などが複雑に絡み合った結果として現れますので、完全にこの順番になるわけではありません。影響力を支える要素と捉えて下さい。

海外就職した職場で非公的権威に結びつく自分の特性を理解する

非公的権威の概要が分かったら、今度は自分はどのような特性があるかを理解しましょう。
国によって、現地語の語学力があれば、”通訳”の特性があります。
年齢は、その会社の平均年齢や、他の管理者との年齢との比較になります。シニア中途採用であれば、かなり当てはまるでしょう。

ベトナムの日系企業に勤める現地採用の方の例を挙げると下記のようになります。

  • ベトナム語ビジネスレベルで、簡単な通訳も行う
  • 立ち上げ直後から在籍し、勤務歴が長い
  • ベトナムの平均年齢は若く、社内でも最年長レベル
  • 日系企業で、日本人として勤務
  • 儒教の影響がある中で、男性である

この方は、かなり非公的権威を高める特性があると考えられます。
自分の特性を知ることにより、非公的権威を意識的に強化する事ができます。

非公的権威(Informa Authority)を強化する

変えられるもの

非公的権威の特性には、変えられるものと変えられないものがあります。

通訳」特性は、語学力を磨くことによって強化できます。また、積極的に雑用的な通訳業務に携わることによって、本業務以外の「通訳」を副業務のようにすることによって、通訳の立場を強化することが出来ます。

上位職への情報伝達の強化は、常日頃から現地社長との日常会話をすることによって強化されます。上位職に対して、敬遠気味の態度を取ってしまう人がいますが、機会を逃しています。日頃から普通の日常会話をすることにより、話をしやすい土台を作り、仕事の会話もしやすくなるのです。

汚れ役」というのは、威圧者になるばかりではありません。上位職に担っている厳しいペナルティを課したり、本社からの理不尽な指示といった事柄に対して、積極的な提案・支持を行うことにより、上位職の業務をサポートする役目です。これにより、「あなたの言葉は社長の言葉」のような錯覚をもたらします。ネガティブな言い方ですが、虎の威を借る狐のようなものです。また、あなたが上位職の業務を裏から支えるため、あなたの行動も上位職から支持される可能性が高くなります。

特定分野での業績」は、自分の通常業務で抜きん出た業績を出すことです。

非公的権威を高めたり、以前の記事の「関係性の構築」を利用することにより、社内での業務環境を整えてあれば、あとは本人の努力次第です。業績アップ→社内環境改善のループが回ればあとは本人次第で有利な状況となっていきます。

変えられないもの

非公的権威の特性には、変えられないものもがあります。
性別・年齢などは変えられませんが、それだけに事前に会社の文化を知ることが大切です。
会社の平均年齢や、設立からの年数などは簡単に分かりますし、日系企業であれば、面接時に現地社員とのコミュニケーション方法を聞くことによって、通訳者の人数や、駐在員のコミュニケーション言語を知ることができます。
社風により、ホワイト系か権威的な社風なのかでも変わってきます。これも面接時に、社内の状況を聞くことにより、ある程度は予想がつきます。

すでに入社してしまっている場合は、変えられない自分の特性はどうしようもありません。次善の策として、非公的権威のある人を見抜きましょう。

非公的権威(Informa Authority)を持つ影響者を見抜き、関係を強化する

自分の特性強化の他に、すでにいる非公的権威(Informa Authority)を持つ影響者を知っておきましょう。基本的にこういった人を敵に回すことは意識して避けます。職務上の接点や、性格の相性もありますので、中立的であってもよいので、最小限でも嫌われるようなことは避けます。
一番良いのは、こういった人と良好な関係を築くことです。あなたが支持者にまわれば、向こうもあなたを支持してくれる可能性は高いです。
会議や提案のある場合は、事前に意見を聞き、反対や異議があったら、正式な発表の場の前に修正案や対応案を練っておきましょう。「○○さんの意見を容れて、このように変更しました」と言えれば、自分の意見を取り入れてくれたあなたの案に賛成してくれる可能性は高くなります。
また、その人の不得手な分野で積極的なサポートを行い、いなくては困る存在になるとお互いに良い関係になります。頑固な職人さんの通訳などをしていると、ことあるごとに呼ばれて面倒ではありますが、その過程で雑談をしたりして関係が強化されます。

自社だけでなく、取引先の場合も同様です。駐在員で、他社の現地採用を下に見る人もいますが、率直に言って損をしています。自社の提案を、現地社員の直接担当する幹部へ紹介したりする役目を負っていたりしますので、ここで嫌われるとそこで話は終了します。
さらに現地社長へ案件の推薦も行いますので、この見極めは重要になります。他社の場合は見極めが難しいですが、語学力・勤務年数等から考えて、その人が影響力を持っているのか、それとも単に雑用的な仕事をしているのかを見抜きます。雑用的な仕事をしている場合は、とにかく次の人への取次ぎを目標としましょう。

【まとめ】職場での立ち位置の取り方。存在感・影響力の確立

非公的権威(Informal authority)とは、公式な地位によらない地位です。
この非公的権威は、上位職者との人脈、飛び抜けた業績、長い勤務歴や汚れ役を行う人が周囲から無言の支持を受けて、影響力を持つというものです。
そして、非公的権威は、文化や社風の影響を受け、年齢・勤務歴・性別・学歴・前職歴・国籍などの要素で、敬意を受けやすくなります。
その国・会社で自分のどのような特性が非公的権威に当てはまるかを認識し、それを強化していくと影響力を持つことが出来ます。
もし、自分が非公的権威を持てない場合は、社内(もしくは社外)の非公的権威者を見抜き、その人と良好な関係を築くことにより、その影響力を利用することが出来ます。

非公的権威は、「影の権力者」のように誤解されるかもしれませんが、全くそのようなことはありません。会社であれ、学校であれ、人間の集団には必ず発生するものです。影響力も、かなり強い場合もあれば、なんとなく皆が耳を傾ける程度の場合もあります。また、この影響力をどのように行使するかはその人次第です。会社の業績や発展につなげたり、不正やパワハラを起こさないような雰囲気を作ることもできるのです。現実に「ある」ものですから、これに対してどのように向き合って行くかが大切でしょう。

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