【海外就職】 海外職場での日本人との人間関係構築

ホタイブログ

海外就職したけれど、職場で日本人との人間関係がうまくいかない、という悩みを抱えている方も多いと思います。私も、以前は対人恐怖症気味でした。海外に20年在住している経験から、海外職場でどのように人間関係を構築してきたかを考えてみました。
海外日系企業では、日本人の人数が少なく、組織が小さくなります。
駐在員は、普通の日本のサラリーマンですから、海外で就職しようという「他国の文化を知っている」というような海外就職組とはあまり相性が良くありません。
日系企業の少ない日本人の組織の中で、返報性の原理を利用してうまく関係性を築く方法を紹介します。

目次

日本人との人間関係 優先順位を作る

日系企業での日本人は、上は現地社長から、下は中間管理職や、技能者までと人数が限られます。
良好な人間関係を築くには、まず優先順位を決めましょう。
会社の中で、職位と業務上の接触度で関連度を整理して見ましょう。

職位と業務接触頻度

上図のように、自部門で毎日接触するのが自部門の上司・同僚と部下になります。
他部門は、自部門との関連度によって接触頻度が変わります。
一般的に社長は職位が一番高くなります。接触頻度は、その人の置かれた状況によって多いほうや少ないほうに動きます。
この図の中で、上・右方向にあるほど、人間関係を有利にしてれます。
例えば、同じ自部門のなかでも、職位の高い人、つまり上司と関係が密になっていたほうが、何かと物事がうまく運びます。同じ接触頻度であれば、職位の高い人と関係を深めた方が有利になります。図の中の社長と他部門の上司Aは同じ接触頻度ですが、職位の高い社長と関係を深めた方が有利です。職位と接触頻度から人間関係の優先順位を見直してみましょう。

人間関係の段階を踏む

人間関係には段階があります。速度差はあれ、大体このような段階を踏んで関係性が深まります。

  1. あいさつをする
  2. 日常会話をする 軽い仕事の話を含む 天気、ニュース
  3. 必要業務の話をする
  4. 業務サポート(補佐)を行う

あいさつ:挨拶は、スタートポイントです。まずここから始めましょう。挨拶をしても損をすることはありません。ここで「顔を知っている」という段階になります。
他部部署の人などとは、あまり挨拶をしない人もいますが、挨拶をすることにより、顔を覚えてもらい、次のステップに進みます。
職位の上の人には、必ず挨拶をしてけば、後々楽になることがあります。次のステップの会話へ進む糸口です。
日常会話:普通の日常会話です。天気やニュースの話、一般的な仕事の話(売上げが上がっている、新人が入ってくる等)で、当たり障りなく会話をします。
「会話をすること」が重要なので、内容は何でも構いません。ここで関係がぐっと深まります。
社長や他部署の上司でも、とにかく時事ニュースなどで話をつなぎ、話しやすい関係を作っておくと、いざ業務の話をする時に、躊躇なく切り出せるようになります。相手も見知った人の話であれば、構えることなく自然に耳を傾けてくれます。
業務コミュニケーション:業務上のやり取りを行います。上記の日常会話を普段からする関係であれば、業務上の疑問や提案なども気軽にしやすくなります。
特に入社したばかりであれば、簡単なことでも分からないことばかり、そんな時に気軽に声をかけられる人がいると大きな助けになります。
相手業務のサポート:「必要」なことではありません。相手の困っていることの手助けです。現地の言葉が分かるなら、通訳の手伝いをしたりします。

以上の段階まで来れば、職場での人間関係はほぼ問題はありません。この過程で雑談もしますので、お互いの性格も知ることができ、あるいは個人的な付き合いもあるかもしれません。
ここまでくれば、職場での人間関係は問題ありません。
相手業務のサポートまでは必要ない、と思う方もいるかも知れませんが、これは自分がギバーになり、相手に「借りがある」と思わせることによって、相手からの協力を得られることを(返報性の原理)を狙ったものです。あまり打算的に考えなくても、職場でお互いの助け合いができると良い雰囲気になると考えてみて下さい。

サポートをする人としない人を決める

全ての人と人間関係を上手く構築できれば理想的ですが、人間には相性があり、上手くいかない人もいます。
そんな時は無理をする必要はありません。
社会人として仕事をしていますから、必要業務を行うのは当然です。 しかし、他の人へのサポート業務は、自分の業務上の負荷や自分の意思でどうするかを決めます。
正直なところ、駐在員で現地採用を見下してくるような人もいますが、私はそのような人にはサポートはしません。業務上でも関係ない仕事をする必要はありません。
当然、自分のメイン業務に関わる部分はきっちりとしますが、プラスアルファの部分は一切しません。
少ない日本人の中なので、サポートありとなしの人の差は歴然としますが、そのまま放っておきます。むしろ「この人と上手くやった方が、仕事がよく進む」とその差がはっきりと分かる方が状況は良くなるでしょう。人間関係を良くして、仕事をやりやすくしたいというのは、誰でも同じだからです。
その相手から、直接に「お願い」された場合は、半分は業務なのでサポートしますが、積極的なサポートはする必要はないでしょう。また、「お願い」の後に、相手の態度がどのように変わるのかを見る必要もあります。
人によって、サポートレベルA、サポートレベルB、サポートレベルCとサポートランクを決めておけば良いでしょう。勿論全員がサポートレベルAであることが望ましいです。

ただし、直属の上司や接触頻度の高い日本人と相性が合わないと非常に難しいのも事実です。駐在員は大抵数年で帰任しますので、まずは最低限の接触にとどめ、帰任を待つのも一つの手です。どうしても待ちきれない場合は、自分から職場を変えることを考えるしかありません。
この人のサポートがないと仕事が上手くいかない、ということは、次の赴任者に引き継がれますので、ある程度上手くいっていれば、その後は自然とその状況が続くことがほとんどです。

海外職場での日本人との人間関係構築 まとめ

日系企業での海外職場は、組織が小さく、日本人の数は少ないという特殊性があります。
その中で、海外就職組がうまく人間関係を構築するためには、人間関係構築の段階を踏みます。
この段階は、1.あいさつ 2.日常会話 3.業務でのコミュニケーション 4.他者へのサポートとなります。

業務でのコミュニケーションは必須ですが、その他のあいさつや日常会話も積極的に行うと関係がよくなり、業務上のコミュニケーションも気兼ねなくできるので、日常会話にも業務上の話を混ぜながら行うと、仕事もスムースに進みます。
あいさつや日常会話をしない人もたまにいますが、社会人としてある程度は必要です。全くできないと、社会人失格の烙印を押されますので、苦手な人も少しづつ、あたりさわりのないところから始め、慣れるようにしましょう。
他者へのサポートは、プラスアルファの部分であり、これができると会社の自分への必要度が格段にアップします。駐在員は、数年で帰任しますが、海外就職組は駐在員より長くいるため、いろいろな仕事のサポートをしてくれる人は貴重です。
駐在員も、業務をスムースにすすめたいため、このような貴重な人材には、無下な態度はとれないのです。
心理学的にも、「返報性の原則」という何かを受けた場合には、それを返そうとする働きがあります。他者へのサポートはこれにあたります。
しかし、人間には誰しも相性があるため、合わない人にまで無理にサポートする必要はありません。
組織の中での人間関係というものは、多数決のような側面があるため、サポートしない人を多数作るのは得策ではありません。どうしtも合わない人一人くらいでしょう。
多くの人にサポートしないとなると、逆に気難しい扱いづらい人と受け止められるので、その会社の多くの人と合わない場合は、むしろ人と合わないのではなく、その会社の社風と合わないのではないかと疑ったほうがよいかもしれません。

主業務以外でサポートが必要ということは、駐在員と現地社員との間に入ることが多いので、駐在員からだけでなく、現地社員からも頼られるということです。
他部門の現地社員から呼ばれて、駐在員との間に入るようなことがあれば、かなりの成功で、両方から頼られている状態なので、人間関係もほぼ上手くいっていると言ってよいでしょう。
日本側と現地側、双方の文化や考え方を理解している者としての立場が確立できれば成功です。

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