【海外就職】会社選びに気をつけることーブラック企業を避けるために

ホタイブログ

海外の日系企業は、日本の労働法の範囲外となり、現地で働く日本人は現地の労働法にも詳しくない上に、法的手段に訴えることがほぼないため、社風によってはブラックになりやすい環境とも言えます。
そして、海外日系企業に就職すると、組織小さくなり、現地社長や他の日本人との関わりが密になります。
特に社長によって大きく社風が変わり、オーナー社長と雇われ社長では大きく社風が異なります。
私は海外で20年ほど働いていますが、オーナー企業の方が権限が集中し、ブラック化しやすいようです。本記事では、その違いと見分け方を解説します。失敗のないように事前に違いを知っておきましょう。

目次

海外日系企業 オーナー社長と雇われ社長の違い

オーナー社長は、権限が強く、自分で全て決裁していく傾向があります。そのため、会社の仕組み化が遅れていたり、会社の規模がそれほど大きくない場合が多いです。勿論オーナー社長でも上場している会社もありますので、あくまで傾向です。社長が「やる」といったらそれが全て、のような会社運営になります。
雇われ社長・サラリーマン社長は、本社から派遣されており、本社の職務権限規程などに権限が明確に決められています。
あくまでも組織の一部としての現地会社運営ですので、本社との調整業務も多いです。上級管理職ですので、有能な人材として抜擢されたプロサラリーマンです。

オーナー社長と雇われ社長

権限

オーナー社長は、ほぼ全ての決定権限を持ちます。社長の決定事項には全員がすぐに従うので、意思決定や行動が早くなります。
反面、チェック機能が働かないので、誤った方向に向かってしまったりすることもあります。社長の気づかないことや目に入らないことは、疎かになりがちです。社長がルールなので、社内規程の整備ができていなかったり、例外が多かったり、規程が遵守されなかったりなどの弊害も発生します。ルールにがちがちに縛られ、身動きがとれないようなことも少ないですが、情実人事なども起こりやすくなります。

雇われ社長は、本社社員として派遣されていますので、明確な本社の権限規定に基づき決裁権が決まっています。
重要事項は本社決裁ということも多く、着実でミスのない会社運営になりますが、意思決定は遅くなりがちです。
本社にならった社内規程が整備されますが、逆に組織内での決裁等の業務も多く、スピード感にかけます。官僚主義に陥りがちです。

任期

オーナー社長は退任するまで社長ですので、ほぼ任期なしと考えて良いです。
雇われ社長は、本社から派遣されていますので、3年から5年で交代します。10年以上の場合もありますが、ローテーションをすることにより、癒着や不正を防ぐ意味もありますので、数年で交代が通常となります。

社長と人間関係をうまく構築できないと、オーナー企業の場合は、ほぼ生き抜くことはできません。その反面、相性がよく、オーナー社長に認められると業務や給与の反面で優遇され、やりやすくなります。

雇われ社長の場合は、数年で交代になるので、社長交代により社内の雰囲気も変わります。相性が悪くても数年後には解消されることがあります。うまくいっていた社長が帰任し、新社長とうまくいかないといったようなことも発生します。

常駐/非常駐

オーナー社長は、日本本社と海外子会社の掛け持ちとなるため、海外に常駐することは少なく、本社・子会社をローテーションで回るなど定期訪問となります。毎日顔を合わせることはありません。社長のいる時/いない時のサイクルで仕事が回ります。
雇われ社長は、駐在ですので、常駐します。ほぼ毎日顔を合わせることとなります。

会社の仕組み化

オーナー社長は、社長がルールですので、あまり会社の仕組み化は進んでいません。そのため、社員もルールの則って仕事をするという意識が希薄になります。要するに「人治」ですので、社長が良いといえばOK、あの人が承諾したのでOKとなりがちです。フレキシブルですが、同じ事例でも時々によって結果が異なるというブレが生じます。
雇われ社長は、自身の権限が職務権限規程で決めれらています。社員までルール意識が浸透していますが、余計なルールで業務が煩雑になったり、遅滞を招きます。

社員の権限

オーナー社長が指示する内容は絶対ですので、その業務を任された社員は、大きな権限を持ちます。「社長の指示です」という言葉でスムースに業務が進むことが多いです。部門や職位ごとの職務権限が不明確であることが多く、人間関係で処理されていくことが多いです。
雇われ社長の場合は、部門と職位での決裁権限がが細かく決まっています。

オーナー社長と雇われ社長のメリット・デメリット

オーナー社長 雇われ社長 メリット・デメリット

それぞれに相性もあり、メリット・デメリットは表裏の関係になります。
オーナー社長のもとで、あなたが大きい新規企画を提案し、それが社長に認められたなら、非常に速く、スムースに動くことができるでしょう。雇われ社長の場合は、本社決裁等の時間がかかり、各部署との連携もうまくこなしていかなければなりません。
給与面では、オーナー社長の会社は、給与テーブルがあるものの、例外などが多くあまり厳正な適用はされません。能力はあるけれど給与テーブルの関係上給与が上がらない、といったことは避けられ、規則よりも実際の能力が反映されます。情実人事的で、相性が合わないと過度に低い給与となったりします。
雇われ社長の会社では、給与テーブルがきっちりと運用され、職位や技能により給与が決められます。職位は同じで、能力にばらつきがあっても給与が同じということが発生します。
ただし、現地採用の日本人は、給与テーブル外の扱いであることも多いです。現地社員とそもそもの給与相場が異なるため、例外扱いとなるのです。


社長とのかかわりあい方も、万一オーナー社長に嫌われると、その会社でやっていくことは難しくなりますが、雇われ社長の場合は数年の辛抱で、交代する可能性が大きいです。
オーナー社長が人間的に、またはビジネス感覚が優れていれば、そこから学ぶものは多いです。人の動かし方も、仕組みによらずに、個人との関係性の方が強いので、人の動かし方等も見習うべき点が多いかもしれません。
雇われ社長は、サラリーマンとして優秀なので、組織内での立ち回り方や、組織の運営を学ぶことができるでしょう。また、組織を仕組みで動かす方法も学ぶことができます。

海外日系企業 オーナー社長と雇われ社長の見分け方

日本本社の社長と現地子会社の社長が、同一人物である場合は、大体オーナー社長です。
または、面接時に社長について聞くことが確実です。現地で起業している会社もあるので、その場合もオーナー社長になります。現地で起業した会社のオーナー社長は、当然現地に常駐になります。

海外では、大企業子会社でもブラック化する

ここまでの内容で、オーナー企業は危ないと思われるかも知れません。しかし、大企業の子会社でもブラック化しているところもあります。その背景を説明します。

駐在員の働き方

駐在員は、単身赴任の人も多く、現地の言葉もできない人が多くいます。こうした人の中で、アフターファイブにやることが見つからないと、仕事のみしかやることがなくなり、夜遅くまで仕事をすることになります。サービスアパートメントに住んでいると、洗濯・朝食・掃除などのサービスもついているため、生活が会社―日本食レストラン-帰宅 のパターンとなり、公私の区別がなくなります。この状況が一人ではなく、その会社の日本人全体に広がると際限のないサービス残業となります。
更に同調圧力で、現地採用の日本人にも同じことを求めるところもあります。

現地社員はサービス残業などはしませんので、定時で退勤します。現地採用の日本人は、駐在員側-現地社員側のどちらかの立場に分かれます。特に仕事を始めた時にどちらかにつくかで、そのままの状況が続きます。

どちらを選ぶかは本人の自由ですが、もともと駐在員と現地採用では待遇が違うので、サービス残業を強制されるようであれば、転職を考えたほうが良いでしょう。
面接時に、駐在員の実際の勤務時間を聞いて見ると事前に分かります。

立上げ期

ホワイト企業でも、会社立ち上げ期はブラック化します。ただ長くは続きません。
筆者も工場立上げに携わったことがありますが、会社としての仕組みがまだなく、全ての業務をいる人だけで行わなくてはならないため、めちゃくちゃな業務量となり、とても通常勤務時間では追いつかなくなります。
この状況は、会社としての仕組みが整ってくるに従い解消されていきます。立上がうまく行けば1年ほど、長くても2年ほどが山場です。会社の設立時からずっといるということは、その会社の最古参となりますので、それなりの存在感を持つことができます。

「現地採用 やめておけ」?

検索エンジンで「現地採用」と打つと、自動で「現地採用 やめておけ」と出てきます。
その内容を見てみると大体3つの理由が出てきます。

  1. 駐在員との格差
  2. 帰国後のキャリアにならない
  3. ブラックな環境

駐在員との格差というものは、現地採用の存在理由が企業のコスト削減である以上、どうしようもありません。
これに対しては、スキルを上げて転職し、ステップアップをするしかありません。やはり、もとの待遇は低めですし、一つの会社に勤務し続けていても、待遇が急にあがることはありません。これは日本で仕事をしていても同様です。いくら成果を出しても、給与が倍になることはないのです。待遇の大きな改善を狙うならば、日本でも海外でも転職するしかないのが現実です。

帰国後のキャリアに関しては、これもまず語学力・業務スキルを上げれば、かならずしもキャリアが断絶するということはありません。語学もできず、海外での業務経験で管理職の経験がないときついかもしれません。
しかし、今の経済状況下の企業のコスト削減圧力やコロナ禍の経験から、海外駐在員の数を減らしていくという動きも出てきています。能力に応じて管理職のポジションも現地採用者に開けてきつつあるのが現状です。

現地採用についてはこちら
【海外就職】現地採用の3つのメリットとデメリット。失敗しないために、企業が求めるものを知ろう

ブラック企業の問題ですが、中小企業にオーナー社長が多いのですが、そういった企業は日本側に海外に行ける人材がいないため、現地で現地採用を求める事になります。そしてその中にはブラック企業もあるわけです。そのため、それほど多くはない現地採用の就職先として、引っかかってしまう場合があるわけです。そうなると最終的には失敗に終わり、帰国して後悔することとなるのです。海外就職する際には、海外にもブラック企業があるということを念頭において下さい。

【失敗しない海外就職】海外就職で会社を選ぶにあたって

海外就職については、どのような職があるのか、ということは話題になりますが、会社の中身までが話題になることは少ないようです。海外でも日本と同様にブラック企業があるということをまず知っておきましょう。そして、海外では労基に駆け込むということはできないのです。
もし、就職予定の会社にすでに現地採用者が働いている場合、何年くらい働いているか聞いて見ましょう。そして、できるなら少し話ができれば理想的です。
また、ブラック企業に当たってしまったらとっとと逃げるのが正解です。そのためには、現地の就職状況を常に把握し、現地採用者同士のつながりを持っておくと対応しやすいです。そして一番重要なのがいつでも転職できる語学力と業務スキルを持つことです。

オーナー社長と雇われ社長では、社風・仕事の進め方がずいぶん変わります。
傾向として、オーナー社長の会社は中小企業が多く、雇われ社長の会社は大企業が多いです。
オーナー企業や中小企業を全て否定するつもりはありません。オーナー社長にビジョンがあり、「この人について行こう」という魅力があるなら、オーナー社長のもとで働いて見るのも面白そうです。
新卒や若手の場合は、雇われ社長の会社で組織の仕組み化を学びながらキャリアアップしていくほうをお勧めします。

世の中には、たくさんの会社がありますので、この記事の内容は、あくまで筆者の個人的な意見ですので、御了承ください。
常にスキルアップのチャンスや次の選択肢を把握しておくと、冷静な判断ができます。海外就職に強いサイトに登録しておくと情報が手に入ります。JAC Recruitment

蛇足ですが、日本人が会社の「寮」に皆で入っている会社は、個人的にあまり良い経験はありません。

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