【海外で働く】通訳の言語変換回路を作る

ホタイブログ

語学力が高くても通訳できるとは限りません。それは、頭に言語変換回路ができていないからです。外国語の語学力が高い人は、その外国語を頭で日本語に訳すのではなく、そのまま原語で理解します。通訳をしませんので、いきなり通訳の仕事をしてくれといわれてもうまくできません。これは、頭の中で「言語変換回路」ができていないためです。

目次

語学力と通訳スキル

語学力と通訳スキルはイコールではありません。
つまり、語学力があっても、通訳ができるとは限らないのです。それは、頭に「言語変換回路」ができていないためです。
この「言語変換回路」は語学の習得に比べればはるかに短時間で習得できます。
語学力が高ければ、おそらく10から20時間ほどの訓練でできるのではないでしょうか。

言語変換回路とは

語学力が高くても、通訳ができないとはどういうことでしょうか。
英語と日本語の数字で考えてみましょう。
日本語で「10万」は、英語では「Hundred thousand」 になります。語学力が上がると、この数字は頭で訳すことはしません。つまり、英語で100,000と聞いた時には、そのままHundred thousandと理解します。語学力が高いという段階ではここで理解が終了します。
これは100,000だ、という理解がされているので、わざわざ頭の中で「10万」と訳す必要がないのです。
ここから日本語に訳す場合には、100千とは言いません。10万と言います。ここに言語の変換が入ります。頭ではHundred thousandと理解していますから、日本語で10万と出力する時に言語を変換するのです。この数字のような場合、100千ではなく10万となるので、若干引っかかります。逆もまた同様で、「12万5千」を英語で出力する時にはone hundred twenty five thousandとなります。125千ですね。分かっていても慣れないと引っかかります。

つまり、外国語を習得した、というのは、外国語で直接理解するということです。
外国語習得前は、「Cat」という言葉を聞いて、Cat→猫→猫のイメージ(理解)となりますが、習得後はCat→猫のイメージ(理解)となります。

通訳のステップは、下記のようになります。
①入力(聞く)→ ②内容理解 → ③変換 → ④出力(話す)
通訳をしない場合には、このステップは半分で①②のみになります。
①入力(聞く)→ ②内容理解

言語変換回路とは、この後半の頭で理解したことをすぐに他言語に変換して出力することとなります。

通訳せずに、普通に聞いたり読んだりする時は、内容をそのままの言語で理解します
126,700 + 215,400 = 342,100 という式があった場合は、そのまま全ての数を英語で理解します。これを日本語に訳す場合には、3つの数字を全て日本語に訳さなければなりません。

通訳できないことを訳す

語学力が高い人でもぶつかる壁があります。
それは言語の違いにより、正確に訳すことができない場合です。この時に考えこんでしまうと、話者の話はどんどん進んでしまいますので通訳ができなくなってしまいます。
非常に単純ですが、「そこに犬がいました」を訳す場合は、a dogかdogsか判断できません。また、「ああどうも」などと言われた場合には、どのように訳せばよいのでしょうか。
このような、直接訳すことのできないことや、難しいことをとっさに変換する、という練習が必要になります。
文脈から意味を読みとったり、まず訳しておいて後から修正するようなことになるので、そんな方法にも慣れておきます。

言語変換回路を作る

どのようにしてこの「言語変換回路」を作るのかというと、単純に反復練習をすることです。
特に数字のように、表現に若干の差があるものは、繰り返し練習で、両原語でのイメージが瞬時に結びつくようにする必要があります。
もとの語学力にもよりますが、10時間から20時間の通訳実践を行えば、ある程度通訳できるようになるのではないでしょうか。

言語変換回路ができた後

ただし、この段階では「言語変換回路」ができたというだけですから、まだまだレベルは低い状態です。ここから、どのように話者の意図を瞬時に伝達できるか、また相互の知識ギャップなどを埋めるサポートができるかなど、通訳のレベルを上げていく必要があります。

技術の発展で、翻訳ツールのレベルもかなり高くなってきました。社内でも、細かな翻訳作業はかなり減ったと思います。しかし、通訳の仕事はなくなる気がしません。
ただ言った内容を訳すだけの通訳であれば、今後必要はなくなるでしょう。
しかし「コミュニケーションを成立させる」という通訳の需要はなくなることはありません。

——ホタイブログ—–

関連記事:
【長期視点】海外移住に失敗する3つの理由、ライフステージの変化から考える
【海外就職】現地採用の3つのメリットとデメリット。失敗しないために、企業が求めるものを知ろう
【海外就職】外務省データから見るおすすめの国・就職しやすい国
【海外就職】経済的に住みやすい国はどこか。収入と物価から考える
【日本脱出】海外就職の第一歩
【海外就職】会社選びに気をつけることーブラック企業を避けるために
【海外就職】英語ではなく、現地語を学ぶ5つのメリット
【海外就職】人間関係-失敗しない現地社員との関係構築
【海外就職】部下の叱り方ー部下のマネジメントー
【海外就職】現地採用日本人の給与水準はなぜ高いのか
【海外就職】職場での立ち位置の取り方。存在感・影響力を確立する
【海外就職】 海外職場での日本人との人間関係構築
【海外就職】日本企業の凋落と海外就職
【海外職場】コミュニケーション失敗しない5つのコツ
【海外就職】失敗5大要因と21項目の対処法チャート
[海外生活]ボッチの処世術—お一人様の生き方戦略
[海外就職]現地職場に溶け込む
【海外就職】求められる語学力とスキルレベルは?英語は必要か?
【海外就職】語学力の優位性と限界ー効率的な語学学習法
【海外で働く】社内兼業通訳という仕事
【海外で働く】意訳と直訳どちらを重視するか? ー社内兼業通訳ー

SNSでもご購読できます。

コメント

コメントを残す

*