海外就職のための「良い留学」「悪い留学」

ホタイブログ

海外就職を見据えて、海外留学を考える場合、どのような留学が就職に役立つのか、またどのような場合に「遊学」と思われてしまうのでしょうか?
時間とお金をかけて留学しても、就職時に評価されなければ意味がありません。
筆者は、中国・アメリカに留学し、さまざまな形で留学し、その後の就職活動にどのような影響があるのかを自ら体験し、また身近にいろいろな例を見てきました。
この体験から、これから留学する人が、せっかくの留学体験がむだにならないようにこの記事を書きました。
この記事では、短期/長期、語学・学位といった留学形態から、どうすれば就職活動で評価されるようになるかを説明しています。
この記事を読むことにより、避けるべき留学や、留学の目標をはっきりさせることができ、その後の就職成功につなげることができます。

留学のタイプ 目標 期間 評価
学士、修士、博士 学位 2年以上 専門性があり、高評価
長期語学留学 語学の資格 1ー2年 資格のレベルによる
短期語学(団体) 海外経験 1ヶ月以下 意味なし
就職準備留学 海外就職 3ヶ月ー6ヶ月 長期滞在への期待高

目次

留学の目標

学位の取得

学士、修士、ビジネススクール、ロースクール 資格(CPA)等の取得です。
留学するにあたって、まず目標をはっきりさせなければなりません。
普通の就職活動で、一番高く評価されるのが、学位の取得です。
この学位とは、学士、MBA(経営学修士)、LL.M(法学修士)などです。
それぞれの専門分野の知識を持ち、かつその国の語学力も十分に備わっていると評価されます。また、その分野での就職経験があれば、(日本の職務経験でも)いっそう評価が高くなります。
学位ではありませんが、CPA(公認会計士)もこれに類するものになります。
留学の期間は数年かかり、費用もかかります。
また、入学自体も職務経験や、語学力、特定学歴を要求されます。

留学後の就職活動では、アメリカのボストンキャリアフォーラムが有名ですが、日本の大学のレベルが高くなくても、逆転を狙える可能性があります。
大東亜帝国レベルで、某有名コンサルの内定を取った人がいました。
学歴ロンダリングという言い方は好きではありませんが、その中に入るでしょう。

長期語学留学(1年から2年)

一番一般的な留学かもしれません。これを長期(1年から2年)と短期(1ヶ月以下)に分けて考えます。
語学留学は、通常入学テストなどはなく、入学金を払えば入学できるところがほとんどです。
語学レベルにより、レベルに応じたクラスに振り分けられることになります。
語学学校を終了した場合、修了したレベルのクラスにより、「修了証」が発行されますが、学校単位での発行のため、実際のレベルは分からず、就職活動での汎用性はありません。
この「修了証」は就職などではあまり役にたちません。 英語であればTOEICのスコアや、中国語であれば漢語水平考試などで証明する必要があります。
就職面接などで、「留学で何を学んだか」と聞かれたときに「証明」するものがないと、どれだけ努力して学んでも、それが説明できなくなってしまいます。
留学前にどの資格、テストのどのくらいのレベル、を目標とするかを決めておき、留学先でも途中で受験しておくと良いでしょう。

語学のみで2年を超えるというのは、長過ぎます。語学留学のクラスは教師以外は外国人です。語学の「研究」といった分野までいけば別ですが、ある程度のレベル以上の語学は、教室や座学では難しくなってきます。真面目に言葉を勉強したいならば、それ以上は学位取得の方向に向かいます。
語学留学であまり長期にわたる場合、勉強ではなく単にビザ目的であると捉えられる傾向がありますので、その場合は、長期になった確たる理由を説明できないと高評価を得るのは難しいです。

短期団体留学(1ヶ月以下)

学生が、夏休み中に海外に語学留学するような形態です。
これは全く意味がありません。「留学」というより「体験旅行」に近いです。
特に業者に申し込む団体留学は、「外国人とのコミュニケーション」という最低限の意味合いもないことがあります。
つまり、クラスは全て日本人で、授業後も日本人のクラスメイトと出歩き、せいぜいショッピングしたり、レストランでその国の言葉を話すくらいです。
おまけに、日本人だけのクラスは折角のネイティブ教師の授業に、恥ずかしがって誰も全く発言しない、というようなこともあります。
そうであれば、この期間、日本で缶詰になって勉強したほうが、よっぽど語学力はアップします。
興味のある国に実際行ってみるという意味はありますが、語学力アップは期待しないほうがよいし、まして就職活動時のアピールにはなりません。

就職準備留学(3ヶ月から6ヶ月)

この形態はまだ少ないようですが、このような選択があるということで紹介します。
海外での就職を考えた場合、まだ行ったことのない国にいきなり日本から就職するというのは、かなり不安でなかなか飛び込めません。
そこで数ヶ月の準備留学をいれるのです。
留学であれば、数ヶ月の就学ビザが取れます。また、語学は日本で準備していれば、現地での実践の機会が得られます。(蓄積したものが花開く、ということはあっても、全く喋れない人が急に話せることはありません。)
また、時間的に余裕を持って就職活動を行うことができます。理想的には、6ヶ月の留学を予定して、就職活動を並行して行い、4,5ヶ月目に就職が決まるような状況でしょうか。
この留学の目的は、語学力アップよりも就職の準備です。

  • 食や住環境が合うかのチェック
  • 現地での購入できる食材等のチェック
  • 外国人の住む場所や家賃の調査
  • 他の現地採用日本人の状況を見る
  • 現地で得られる就職情報の収集

この先、長く勤める国の状況を肌で知るということは重要です。
また、現地に留学しつつ就職に応募すると、「この国に長くいてくれそうだ」という印象を与えることは間違いないでしょう。
いきなり飛び込んで、環境があわなくて数ヶ月で離職…のような状況に陥るのであれば、時間とお金をかけて準備したほうが良いでしょう。

留学という形式ですが、目的は学習ではなく、就職です。

成功する留学のポイント

語学留学は、ビザも含め、全て自分で手続きをしましょう。
最低限それくらいの語学力・行動力は必要です。それくらいの語学力がないのであれば、時間とお金をかけて留学する必要はないでしょう。
他力本願では成功しません。

目標をはっきりさせ、留学中は他の日本人とは、ほどよい距離感を保ちましょう。
中には、親から言われて来た、学位がとれればいい、という人もいました。
貴重な時間をかけるのですから、学位だけを目当てにするのではなく、積極的に興味を持って学ばないともったいないです。

就職活動での一つのポイントはGPA(Graduate Point Average)です。
専門学位を取得した人を獲得したい会社は、それくらいは見ます。誰でも知っている有名校でなくても、オールAのような好成績はかなりのアピールになります。
GPAを常に意識して授業に望みましょう。

海外就職をみすえた留学

海外就職を見据えた留学では、一番有利なのは、「学位取得」です。
専門性と語学力をアピールできる学歴です。さらに良好なGPAであれば、言うことなしでしょう。ただし、相当きついです。
次点は、語学留学で、一般に通用する資格やテストの高レベルでの取得が必須です。

「語学留学しました」だけではかなり厳しいです。また、語学だけで3年、4年というのは長すぎです。
自分の年齢も上がってしまうので、更に上の語学力を目指すのであれば、学位取得とあわせて考えるべきでしょう。

短期留学はおすすめしません。その時間とお金を使い、日本で集中して勉強したほうが効率が良いからです。
その国を見てみたいなら、一人旅でもすれば十分です。その方がかなり安く済みます。

海外準備留学は、そのまま就職準備です。海外就職を計画している人ならば、トライする価値はありますが、勉強のための留学ではありません。

補足

どうしたら海外で学位の取得ができるでしょうか。
一番は、自分を追い込むことです。
一度就職し、社会人になってから留学することをおすすめします。理由は以下の3つです。

1.修士号は、一度就職し、ある程度職務経験を積むと、実体験をもとにした学びになるので、内容理解・討論などに大きく影響します。
2.一度就職してからですので、ある程度の年齢で新卒ではなくなります。学位取得しなければ相当きつい状況になるので、後がありません。追い込まれた状況で必死になります。
3.このような場合は、大体自分で働いた貯金で留学しますので、お金と時間にシビアになりそれだけのものを学ぼうという意欲が湧きます。

ただし、精神的にはかなりきついです。

おまけ

日本で就職活動する場合、学校の名前に注意が必要です。
例えば、ガジャマダ大学卒業とジャカルタ州立大学卒業の場合、インドネシア関連で知っている人ならば間違いなくガジャマダ大学のレベルが高いことを知っています。
しかし、採用担当者がそういった事情に詳しくない場合、「ジャカルタ」という自分の知っている単語を見て、こちらの方になんとなく親近感を抱いたり、全く知らない名前のガジャマダ大学よりレベルが高いと誤解する可能性があるのです。
同じレベルで複数の学校から留学先を選ぶ時は、少しでも日本で知られている方を選ぶと、後で得をするかもしれません。

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