初めて海外で働く。行く前は恐い気持ちでいっぱいになるのは当然です。
自分に取って未知の領域にはいるわけですから。
新しいことへの挑戦と、知らないことへの不安で胸がいっぱいになります。
私も、海外へ行く前夜に「航空券をキャンセルできないかな」などと考えていました。こうと決めてもやはり恐いですよね。初めての渡航時はもとより、毎回新しい国に行く時に不安になります。
自分の不安のもとを分析して、冷静に考えてみると、この不安な気持ちが減り、気持ちが軽くなりました。そして、不安の原因を大別すると、下記の4つにに分けられることに気づきました。
- 日本のこと(年金、保険)、家族
- 海外の仕事 就職できるか、語学力、業務、現地の同僚との人間関係とコミュニケーション
- 海外の生活 家、食事、買い物
- ビザ
- もし失敗したら
この不安の原因について解説してみたいと思います。
また、事前に「偵察旅行」をすることによって、様々な情報が入り不安を払拭することができます。
同じ状況の人の不安が少しでも解消できればと願っています。
目次
日本のこと
年金、保険手続き
海外に長期に滞在するとなると、日本の各種手続きが心配になります。
特に国民年金や、国民保険の手続きが気になるところです。
年金も保険も手続きの元になるのは、市町村などの地方自治体で、現住所です。
そこで、日本に現住所を置くかおかないかで状況が変わります。
海外への転出により、現住所を日本に置かない場合は、国民年金は任意継続になります。
国民保険へは加入できません。あるいは誰かの扶養者となります。
現住所を日本に残す場合は、国民年金、国民保険へ加入と支払いが義務になります。また、住民税も支払いの対象となります。
これらの内容は、変わる可能性がありますので、関連窓口に直接連絡して確認してください。
現住所を残すか残さないかについては、自分の予定や家族の有無にも関連してきます。
いずれにせよ、かかる費用もあわせて主体的にどうするか決めておきましょう。
例えば、何も考えずに現住所を実家に残したままで海外に行ってしまうと、国民保険や住民税の請求が実家宛に来続けることになります。また、支払いが行わければ滞納となります。現住所を日本に残すならば、誰が支払い手続きを行うかもしっかり決めておきましょう。
私は、途中までは日本に現住所を残していましたが、日本に一時帰国できない年もあり、結局現住所をぬいてしまいました。
家族
若く、独身時代はあまり考えることもなかったのですが、両親が年をとり、自分も家庭を持つ考えなければならないことが増えてきます。
親や妻子を日本において海外就職する場合は、ある程度の展望を家族と共有しておくことが大切です。
妻子の場合は、数年単身赴任になるのか、ゆくゆくは現地に呼び寄せるのか。
子供の教育はどうするのか、等です。教育に関しては、海外生活をチャンスとして、インターナショナル校に行く人もいますし、あるいは日本人学校に通っている人もいます。
いずれも大きな出費となるものなので、将来の進学先も見据えながらよく話し合いましょう。
単身赴任で来て現地調査するというのもありでしょう。その方が現地の実際の状況が肌で感じられ、生の情報が手に入ります。
教育や介護等の長期的な問題についてはこちら
【長期視点】海外移住に失敗する3つの理由、ライフステージの変化から考える
親の介護
親の介護という問題は、かなり大きな問題です。
誰がどうすると決めることはなかなか難しいところですが、海外就職するため、「日本での介護には参画できない」、あるいは、「○○年は日本に帰れない」という立場を明確にしておくことも必要です。
それによって、親は介護施設入居の準備をするかもしれませんし、兄弟もそれに対応した準備をするでしょう。もちろん実子に介護の責任はありますし、介護放棄を勧めるわけではありません。場合によっては日本に帰国しなければなりません。ただ、立場を表明しておくことで、他の人がそれを前提とした準備を始めることができます。
少なくとも、海外の期間(数年であれ、終生であれ)をはっきりと伝えておきましょう。
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ただ、あまり先の問題を考えても新たな挑戦はできませんので、「まずやってみる」という心構えも大切です。
海外の仕事の不安
海外で暮らすには、「お金」が必要です。お金がなければ生活できません。
あるいは親の支援を受ける留学生のような場合もあると思いますが、海外就職を目指す場合は、仕事での収入で生活することを考えているでしょう。
仕事が決まっていない場合
理想的には、日本を出発するまでに就職先を決めておくことですが、そうもいかない場合もあります。また、現地での面接は決まっていても最終決定まで至っていないこともあるかもしれません。
その場合は、求職のつてを事前に手に入れておくと、心に余裕ができます。
日本企業が多く、日本人も多く住んでいるところでは、大体日本人を対象とした転職エージェントがありますから、少なくとも連絡先はいくつか調べておけば、万一うまくいかなかった時にすぐ連絡することができます。
こういったエージェントは、日本にも窓口を持っていたり、日本のエージェントと提携を結んでいることが多いので、できれば日本にいる内にエージェントに登録しておき、現地担当者の連絡先も貰っておくと、不安がなくなります。
日本にいても、海外就職に強いサイトに登録しておくと、具体的な情報を手に入れることができます。
海外就職に強いサイトに登録しておくと良いでしょう。JAC Recruitment
私は、語学留学した後に現地で就職をしました。就職エージェントを通して職を探したのですが、思っていたより時間がかかり、貯金が底をつきかけたことがあります。
留学中でも、なるべく早く動きだしたほうが落ち着いて仕事を探すことができます。
海外就職について、まだ考え始めたばかりの人はこちら
【海外就職】現地採用の3つのメリットとデメリット。失敗しないために、企業が求めるものを知ろう
職を探す時に気をつけることはこちら
【海外就職】会社選びに気をつけることーブラック企業を避けるために
語学力
海外就職で一番気になる点は、自分の語学力が現地で通用するかです。
これに関しては、自分で勉強するしかありません。
しかし、最終的に仕事でもとめられるのは、結果です。「結果」をだすための道具として語学が必要となるのです。ということは、極論ですが、語学力がなくても「結果」をだすことができれば問題ありません。
語学力が低くても、業務スキルが高く、片言の言葉でも仕事を完遂できたり、コミュニケーションスキルでカバーできたりすることもあります。
海外で生活する上で、語学力の優先度は高いので事前によく準備することをおすすめします。
しかし、語学力は一朝一夕で身につくものでもないので、ある程度開き直ってしまうこと大事です。
仕事をしながら、現地の同僚に分からない単語を聞きながら勉強を続ければ、同僚達もあなたが一生懸命勉強していることを理解し、受け入れてくれるでしょう。
また、語学全般ではなく、「業務関連」のような一分野に集中すると、全てを学習するよりも格段に短時間で語学力を上げることができます。
「これはなんていうの?」といった語学学習を同僚とのコミュニケーションのきっかけに使って業務を回すくらいにポジティブに考えて行きましょう。
私の語学が一番伸びた時は、就職してから始めのの3ヶ月でした。それまでいくら勉強しても、聞き取れない・言葉が口から出ないという状況でしたが、仕事で通訳も含め無理矢理でも聞き・話すをしなければならなかったので、つらかったですが急激に語学力が伸びました。蓄積していたものが一気に爆発した感じでした。
語学力についての記事はこちら
【海外就職】英語ではなく、現地語を学ぶ5つのメリット
業務
新卒であったり、今まで経験したことのない業務で採用された場合、海外での業務に不安が湧きます。経験のある業務でも、会社が違えばやり方が違ったりしますから、誰しも不安になります。
通常の転職でもそうですから、海外ではもっと心配になるでしょう。
業務については、それぞれの状況が違いますが、「自信」を持つことが大切です。
新卒であったり、業務未経験だった場合は、それを承知で会社が採用しているわけですから、あとは会社の手配と自分の頑張りだけです。ただ海外だと日本の専門書が手に入りにくかったりするので、自分の業務内容がわかっている場合は、専門書を数冊購入し、持っていくと良いです。
実際、貿易事務で海外採用された方(未経験)が、「本の2,3冊くらいは普通持ってくるだろ。。」とあきれられた例を知っています。
今はインターネットでおおかたのことを調べらますが、インターネットの記事は断片的な知識が多く、その業務全般を網羅した内容では、本のほうが優れています。本一冊でも会社の机の上に立てておけば、やる気アピールにもなります。
業務経験のある方は、不安のもとをよくみてみると、おそらく業務自体に不安はないものの思います。ただ、仕事のすすめ方や海外でのコミュニケーションが問題なると思います。
職場でのコミュニケーション
コミュニケーションには語学力が不可欠ですが、語学力については上に述べました。
ここでは、コミュニケーションの仕方や習慣の違いについて考えてみます。
一般に日本と海外では人の距離感が異なります。
私の今いるベトナムでは、初対面でまず聞かれることは、「何歳?結婚している?子供はいる?どこ出身?」といったことを初対面で矢継ぎ早に聞かれます。特に年上・年下は、ベトナム語で相手の呼称のもととなるので年齢は重要な要素となります。年齢が分からないと、相手をどのように呼ぶか決まらないからです。日本だったら、「いきなり失礼な」と憤慨してしまいますね。
これは一つの例ですが、このように国や場所によって人との距離感・コミュニケーションに仕方が変わります。
職場での同僚との付き合い方も同様に変わってきます。
コミュニケーションについては、「周りを見る」、「周りにあわせる」のが基本的になります。職場の人間関係であればそれで十分でしょう。むしろ問題は、周りに合わせると距離感が近すぎる、といった、自分の感覚と合う・合わないの問題となってきます。
しかし、職場での人間関係で、外国人が働くということであれば、完全に現地の方法に合わせることがなくとも認められるので、ほどほどあわせるという感覚で十分でしょう。
コミュニケーションの方法や距離については、職場の先輩や上司にやり方を単刀直入に聞くことが一番です。
割り切って人間関係を最低限にとどめることもできますが、それは現地での生活にある程度慣れてからにしたほうがよいでしょう。
海外職場でのコミュニケーションについてはこちら
【海外就職】職場での立ち位置の取り方。存在感・影響力を確立する
【海外職場】コミュニケーション失敗しない5つのコツ
私自身は、会社の同僚とプライベートのつきあいはほとんどありません。仕事中の雑談も少ないほうです。「こんな人」と思われてしまえば、案外それで通用します。
[海外生活]ボッチの処世術—お一人様の生き方戦略
海外の生活の不安
住む場所
人は誰しも住む場所が必要です。外国での住環境や家賃は不安なところでしょう。
会社が全手配・全支給であればいうことはありませんが、そんな理想的な状況の人は多くありません。
海外の生活で、まずはじめに気になるのが、「家」です。キチンとした家が見つかるかどうか、心配なところです。それまではホテル暮らしになりますが、お金もかかってきます。
仕事は渡航前に見つけることも可能ですが、住む場所はほとんど渡航後に探すことになります。
まず物件探しの希望条件を考えてみましょう。
- 広さや、最低限の設備
- 通勤も考慮にいれた住むエリア
- 大体の家賃
これにそって、まずインターネットで、自分の思うような物件の家賃を調べます。
差があまりにも激しいようなら、条件を変えなければなりません。
そして、その都市の不動産エージェントも幾つかピックアップしておくと安心です。
もし、不動産エージェントが見つからない場合は、就職先に相談すればそいったところを紹介してくれたり、また会社で他にも外国人が働いている場合は、便利なエリア等の情報も持っていることが多いです。
なんのつてもない場合は、まず現地で日本人や外国人向けのフリーペーパー等の情報誌に目を当して見ることをおすすめします。
就職や家が決まっていない場合は、はじめのホテルを安めの所にし、多少時間がかかっても困らない準備をしておきましょう。
買い物
生活必需品は、大きな都市であれば大体スーパーマーケットで手に入れることができます。
問題は、当地にはなかったり、割高となるものや、食材・調味料などです。
趣味のものなど、手に入りにくかったりするものは、持っていったほうが良いでしょう。
現地の人は普通に生活していますので、それほど辺鄙な場所に行かない限り、生活必需品は手に入ります。
永久に日本に帰らないわけではありません。新年等に一時帰国する機会もあるので、それまでは多少辛抱すれば済みます。事前にそれほど心配することはありません。
食事
自炊か外食かによって変わってきます。
自炊でも、たまには日本レストランに行きたくなることもあります。
大都市であれば、世界の多くの都市で日本食レストランはありますが、割高になります。
ウエスタンであれば、ほぼどこの国でもレストランがありますので、それほど心配することもないと思います。
米やパスタといった主食は手に入りやすいので、現地のスーパーマーケットにて、新しい食材に挑戦する気持ちでいけば、不安感は薄れます。
心配であれば、しょうゆやみりんなどを少し持っていけばよいでしょう。
私の場合は、めんつゆが重宝しました。
ビザ
ビザの取得は状況によって変わります。
就職先が決まっている場合は、会社の指示に従えば問題ありません。短期ビザで入国して、現地で就労ビザに切替えたり、招聘状を発行し、日本で就労ビザを申請したりと国によって変わります。
基本的には、就職先の会社に連絡し、どのようにするかを決めます。
就職先が決まっていない場合は、就労ビザが取得できません。
自分でビザを取得しますが、国によって難易度やビザの種類が異なりますので、事前によく調べる必要があります。でないと不法滞在になってしまいます。
どの国でも取得しやすく、長期で滞在できるのが学生ビザです。
その場合は、入学する学校からの招聘状が必要になる場合もあります。
就職先が決まっていない場合は、3ヶ月程度でも現地の言葉を学びながら仕事を探すことができます。学費がかかるという側面がありますが、言葉は勉強できるし、現地の状況をしっかりと見ながら落ち着いて仕事を探すことができるので、決して悪くない選択だと思います。
ただし、学生ビザから就労ビザへの切り替えが難しい国もありますので、事前に良く調べておきましょう。
現地調査
もし、時間とお金が許すのであれば、事前に「偵察旅行」に行くことをお勧めします。
数日といった短期間でも、上記のいろいろな状況が実際に分かりますし、現地でしか得られない情報を手に入れることができます。
現地に入る前に、就職エージェントや、不動産エージェントなど、できる限り探しておきましょう。
事前にアポがとれれば、生の情報を手に入れることができます。
日本にいると、インターネットでしか情報が入りませんが、現地で外国人むけの情報誌を見てみましょう。日本人向けの情報誌も、各国で発行されています。そこには不動産情報や、転職エージェントの情報など有用な情報が満載です。日本食レストランや、日本人むけのお店に置かれていることが多いです。
日本人向けの店には、掲示板やチラシが置かれている事があるので、そこもチェックしておきましょう。また、こういった店の近くは、日本人が住みやすいような地区だったりするため、住宅地の様子も見ておくと、後で住むイメージが湧いてきます。
趣味のサークル活動の情報なども載っていますので、自分と同好の士がいれば、生活の幅が広がります。
生活面のことは、現地のスーパーマーケットに行くとよく分かります。何が手に入り、何がないか、また価格はどのくらいかなどです。スーパーマーケットも、高めなところや安めなところがあるので、数件まわって見ましょう。また、日系のスーパーがあれば、日本の食材等が手に入るかも分かります。
現地の大衆レストランにいくと、現地の食があうかどうかが分かります。
日本で食べる各国料理は、日本風にアレンジされていたりするので、現地で食べると本当の味が分かります。
現地で外食するのか、自炊するのかで生活もかなり変わるので、押さえておきたいポイントです。
現地調査に行く場合には、何を知りたいかを具体的にピックアップしておくと、時間を無駄にせずに効率的に情報を収集できます。
現地に住んでている日本人と話ができれば、かなり具体的なことや、気がつかなかったようなことも教えてくれます。
もし失敗したら
いくらよく準備をしていても、実際にはうまく行かなかった、ということもあり得ます。
仕事・生活といろいろと要因はありますが、海外生活を始めてしまったのにすぐにあきらめて帰国してしまうのは残念なことです。
失敗にはどのような要因があり、どのようにくぐりぬけていくかをしっておくと、すぐに帰国といった自体を避けることができます。
以前、失敗について分析したところ、主要原因は5つとの結論になりました。
内容が多岐にわたるので、失敗の内容とその対処法をこちらにまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
【海外就職】失敗5大要因と21項目の対処法チャート
まとめ
海外就職に初めて行く場合には、漠然とした不安が胸をよぎります。
新たな挑戦に不安はつきものです。
しかし、その不安のはっきりした内容や対処法をしっておけば、不安は解消し、新しい挑戦への喜びをもって、ポジティブな気持ちでスタートできることでしょう。
中には、実際に現地に行かないと分からないこともあります。時間とお金の許す限り、事前調査に行ってみると多くの収穫を得ることができるので、おすすめです。
また、事前にどのような仕事があるか調べておくと、「その国に行きたいけれど仕事がない!!」などと言うことを避けることができます。
オススメ:JAC Recruitment
——ホタイブログ—–
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