【海外就職】現地採用日本人の給与水準はなぜ高いのか

ホタイブログ

最近の事情は変わってきつつあり、先進国など一部の国では、日本の給与水準より高くなっていまが、まだ多くの国々では、まだ駐在でも現地採用でも日本人の給与は高い水準となっています。

現地採用であっても給与水準が高い?と思う方は多いでしょう。現地社員の給与と比べてみて下さい。現地の給与水準と比べると高くなります。これを現地社員に説明できまるでしょうか。現地社員は不満に思っていますし、説明できないと釈然としない関係になってしいます。この給与水準の差は、人材マーケットの違いから起こっているのです。その内容を説明します。

目次

【海外就職】海外就職者の給与は高いのか?ー給与体系の違い

以前の記事の最低賃金から比べても、客観的にみて、日本の給与水準は高いといえます。逆に、ドイツと比べると低くなっているのが、データから見て取れます。

現地採用の日本人は、よく駐在員と比べて低い待遇に不満をこぼしますが、現地の給与水準と比べると高くなることが多いです。つまり、現地採用者が駐在員に不満を持つように、現地社員は現地採用者に不満を持っているのです。
勿論、仕事上での礼儀もありますので面と向かって言われることは少ないでしょう。しかし、折に触れてそういった声が聞こえてきます。そしてその時どのように答えたらよいのでしょうか。

どの会社にも給与テーブルはありますが、海外日系企業において、駐在員は、本社採用のため給与テーブルにはのりません。では、現地採用はどうでしょうか。少数・例外のため、給与テーブル外になっていることが多いです。給与テーブルにあわせると低くなってしいますし、給与テーブルを合わせると、全体が高くなってしまいます。そこで、給与テーブルの例外扱いとなっている例が多いのです。

現地社員がこのような不満・わだかまりをもっていることをよく理解しましょう。そしてその理由を論理立てて説明できると、いざ聞かれたときに戸惑うことはありません。

【海外就職】日本人の給与が高い理由

海外の日本人に理由を聞いても、「いや日本人だから」「日本の経済力が強いから」といった答えが聞こえます。だからなぜ「日本人だから」「日本の経済力が高いから」あなたの給料は高いのか?と聞くと答えに窮してしまいます。
その理由は、日本人は日本の人材マーケーットかそれに準ずる形での給与水準になっているからです。
海外で就職する現地採用はどうでしょうか。海外の日本人人材マーケットも、日本の人材マーケットに準じています。日本の人材マーケットより過度に低ければ、誰も働こうとしませんから、マーケットが成立しません。
現地の給与レベルが5万円だから、現地採用も5万円です、と言われても、誰も働きませんよね。逆に、日本の人材マーケットより大幅に高くなることもありません。それなら企業は日本で人を雇って海外に派遣した方が安くなるからです。

ここで、日本より安めのコストを目的とする雇用者側と、多少安くても、物価の差などで埋め合わせがきると考える求職者側の需給状態でマーケットが成立するわけです。
こうなると、現地の人材マーケットとは全く異なる需給と価格のマーケットとなるので、現地社員と日本人の給与水準に差が出てくるわけです。

逆の状況を考えてみましょう。以前の記事に出てきたドイツでは、日本より給与水準が高くなります。ここでは、現地採用日本人の給与水準は日本より高くなるようです。ドイツの物価の中で暮らすわけですから、日本の給与水準は生活できず、誰もこのレベルで求職しないために、マーケットが成立しないと言ってよいでしょう。

【海外就職】海外の日本人に求められるもの

ここで疑問がわきます。では、日本語のできる現地人は、日本人人材マーケットに参加できるのだろうか、ということです。答えは、「ほぼできない」というものです。
日本人の人材マーケットへの参画は、ほぼ人材紹介のエージェント経由となります。まず現地の人は、そのチャネルを知らないし、知っていてもエージェントで現地マーケット枠に振り分けられてしまうのです。
企業側も、現地マーケットの方が安いため、そちらの方を優先して採用することになります。当然「日本語」という技能を持っていますので、現地マーケット内では高い方になりますが、それでも日本マーケットには入ることは出来ません。

しかし、例外があります。日本に在住していて、日本で就職活動する場合や、日本での在住歴があり、ほぼ日本人と同じように業務ができる場合です。
この、”ほぼ日本人と同じように業務ができる”というところがポイントとなります。日本人に求めるものは、なんとなく、「日本語」と思いがちですが、実は日本語だけではありません。それは日本語の背景にある仕事の仕方、考え方、向き合い方などなのです。

この日本人としての考え方というのは、実は会社によって違いがあったり、また今変わりつつあるものもあります。例えば、駐在員は給料は高いが、転勤命令には従わなければならないし、単身赴任もしなければなりません。多くの国では、”単身赴任”はあまり理解されません。サービス残業なども、批判はあれども、日本人であれば、「ああ、そういうものだな」ということは理解できます。入社した会社でサービス残業が行われていれば、不平に思いつつも自分も残業してしまう、それが日本人ではないでしょうか。
こういった考え方を理解できるのが、日本人マーケットに参加する条件なのです。

外国人が日本マーケットに参加する方法

話を戻し、現地社員に給与差を聞かれた場合、どうしたよいでしょうか。
その人が、日本マーケットに参加する方法を教えるのも一つの手でしょう。エージェントで日本マーケットに振り分けれることが肝要ですから、まずそこを目標としましょう。
まず、日本語ができることと日本人と同じ姿勢で仕事ができること。まずこれが基本です。さらに、上記2点を証明するために、日本企業での職歴(できれば日本での就職経験が望ましい。技能実習生は除く)。当然状況によっては転勤・単身赴任・サービス残業も受け入れなければなりません。まとめると下記のようになります。

  • 日本語能力(ビジネスレベル)
  • 日本人の仕事の仕方の理解と実践
  • 日本企業での職歴(できれば日本で)
  • エージェントで、日本マーケットに振り分けられる

ということになります。
それは無理だ、というかもしれませんので、知り合いの例をあげます。
海外日系企業に技術者として入社。
日本の関連会社で研修。
海外子会社へ帰るも、業務縮小のあおりで仕事がなくなる。
日本本社のグループ会社へ本社の仲介で就職、日本で、日本契約となりました。

日本の関連会社で働き、業務能力・日本語・日本人と同じ仕事をこなせたために、チャンスをものにできたと言えるでしょう。
現地社員が不満を漏らした際には、このように説明すれば、感情的には納得できないまでも、論理的には納得してくるでしょう。

海外就職組はどちらにつくか

海外で就職した場合、”日本人としての働き方”が求められると述べました。では、駐在員と同じ働き方が求められるのでしょうか。
求められる。とも言えます。企業としては、安いコストで駐在員と同じ働きをしてくれれば言うことはありません。現地社員からすると、給料の高い日本人なのだから、多く働いて当たり前、のように思われているかもしれません。
しかし、駐在員と現地採用では待遇に差があることも事実です。全く同じ働きを求めるには無理があるでしょう。経済的に、毎日残業して外食で済ますわけには行きません。たまに駐在員とは違って生活が苦しいといったようなことを臭わせるようなことを言っておけば大体理解されます。
しかし、完全に現地社員と同じ考え方では、日本人としての価値がなくなりますし、現地社員から見ても日本人を雇っている意味が見えず、不満がたまるだけです。どこまで日本よりにするのか、どこまで現地よりにするのかは、実際の待遇や、社内の雰囲気を踏まえて決めましょう。

海外就職 給与水準のまとめ

海外日本人の給与は、一部先進国などを除き、現地より高くなります。その理由は、海外でありながら、日本の人材マーケットの影響を受けるためです。企業側と求職者の思惑が重なる、日本マーケットよりやや低い水準に落ち着きます。
理由は、現地の人材マーケットと違うということなので、当然現地社員より優秀だから、というわけではありません。しかし、現地社員はなかなか理解できませんから、その分仕事の業績を出すようにしないと感情的に納得してくれないでしょう。ただ、機会があれば、このマーケットの違いや、外国人でもこの日本人材マーケットに参加できる可能性があるとと伝えてみましょう。
現地採用としては、海外駐在員との格差に不満が出ると思いますが、同じように現地社員も不満を抱いていることを知り、その分業績で納得されるように努力することをおすすめします。

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